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飼育動物が行方不明になったとき・飼い主不明の動物を保護したとき

ここでは、愛知県下での話を記載します。

まず最初に警察に届け出ましょう

まず最初にすべきことは「お近くの警察に届ける」です。
理由は、犬・猫その他ペットとして飼育されている動物は、法律上は「もの」だからです。
なので、「遺失物」「拾得物」として警察に届け出る必要があります。

愛知県警察のホームページ

愛知県落とし物・忘れ物情報」(愛知県警察のページです)

注意事項を確認して「愛知県の落とし物・忘れ物を探す」からこのページに入っていくと、「動植物類」というジャンルがあります。(一番下の列)

まず警察に届け出ることで、管轄範囲、さらには愛知県下でその子の情報がないか、その子のことを探している飼い主がいらっしゃらないかを検索してもらえます。

参考:落とし物・忘れ物についてのページはこちらから。

注意というか。。。
野良猫を保護したケースで、警察で届け出が受理されなかったというご相談をいただきます。これは由々しきことです。
保護した動物はあくまで「拾得物」です。
警察に「拾得届」が受理されて、3か月経って落とし主が現れず、保護者に受領する意思を確認して、受領書にサインをするまで保護者に所有権が移ることはありません。つまり、「保護した」といっても「拾得届が受理されていない段階」では法律上は「拾得物の横領」であり、「飼い主」を名乗る人が現れた場合は問題になることが考えられます。さらに、飼育中にけがやアクシデントがあった場合は「他者所有物の損壊」にあたりますので、賠償責任が発生するかもしれません。保護してから1年たとうが5年たとうが、届けてなければ同じです。
先日、保護猫の避妊のご相談があり、警察に届けていただいたところ、受理されなかったという報告がありました。理由としては「首輪がついていないので、所有者がいるとは言えない。」だそうです。とても慣れた大人の猫で、首輪もマイクロチップもなかったのです。しかし、人を怖がらずに保護者の家に入ってきて、家の猫のキャットフードを普通に食べてリラックスして居ついている。野良猫にそれは考えにくいですね。
対応した警察官にもよるのでしょうが、「本当に野良猫」ならば「無主物」扱いとして、拾った人のものとすることができます(無主物先占といいます)。例えばまだ目も開いてない子猫ならば、野良猫の仔が親に置き去りにされたケースを想定しても無理がない話です。なので、受理しないでそのまま「あなたのもの」としてしまうのもあながち間違いではありません。しかし、これには落とし穴があります。もし万が一飼い主がいて、何かの拍子に逃がしてしまったとか、飼うのをためらって捨ててしまった(それはそれで動物愛護法違反なのですが)がやはりだめと思い戻ったらいなかったとか、何日か、何か月か、はたまた何年か後に名乗り出てきた場合に問題になるかもしれません。首輪もマイクロチップもないのですから、うがった見方をすれば言ったもん勝ちな話です。
そのうえ民事ですから、問題発生時に警察は何もしてくれないということです。保護者はそのあたりを勉強されていたので、「では、避妊手術をしてもよろしいでしょうか?」と尋ねたところ、「回答できません」と回答されたそうです。「無主物である」と認定する権限も、3か月の期間を経ないまま譲渡する権限も警察官にはありませんから、「所有者がいた場合」を考えれば当然の回答です。対応した警察官の不勉強ではなかったのです。ただ単に拾得物として公開していただいて、保護飼育して、落とし主が出なければそのあとも面倒を見ようと思っている保護者の気持ちが理解されていませんでした。最終的には受理されましたが、同じように受理されないケースは多いだろうと思います。
保護動物は常に「誰かの動物かもしれない」が出発点で、届け出をして3か月の保護期間を経るだけで法律的に問題のない形で所有権を得ることができるのです。かわいそうな動物を救おうとする気持ちを台無しにしないための当り前の手順ですから、必ず届け出は受理していただきましょう。
もし受理していただけなかった場合は、いつ、どこの警察署で、だれに届け出を拒否されたかを必ずメモに残してください。名刺をいただくのもいいでしょう。電話なら「先方に了承を得て」録音することがおすすめです。

次に動物保護管理センターに連絡しましょう

警察への届け出のあと、お近くの動物保護管理センターに届け出てください。

愛知県のページ:「飼い犬がいなくなったら」「飼い猫がいなくなったら

愛知県動物愛護センター

注意 
・狂犬病予防法の規定で、放浪犬を保護することはできても、猫の既定がないために猫の保護は受け付けることはできません。
・名古屋市、豊橋市、岡崎市、一宮市、豊田市はそれぞれの市の所管となります。(連絡先)
時々「保健所に連絡」という方がいらっしゃいますが、現在は保健所はこの業務の管轄ではありません。


警察と動物保護管理センターに連絡をして、動物保護の連絡、飼い主発見連絡が入るのを待つことになります。

ポスターを作成し、当院へお持ちいただいた場合は、3か月間掲示いたします。
※掲示対象は過去3年以内に当院で診療を受けた子に限ります。
  シャンプーなどの購入だけといったケースは不可です。
※1か月ごとに掲示を継続するかどうかの連絡をいただきます。

当院には他県の犬がさらに他県で行方不明になったとか、捜査サービスを名乗る会社?から匿名希望?でとか、信憑性に疑問があるポスターがたびたび送られてきます。掲示希望の方もご来院になりますが、そもそも診療記録のない子の場合はポスターの内容を信じるしかありません。それでも以前は掲示していましたが、ほぼ全員、掲示開始後の連絡はなく、その後どうなったか不明です。当院へお越しの患者様をトラブルに巻き込むことは避けたいと思いますので、このような対応をとっております。

保護した動物がけがをしています。治療はうけられる?

それでもまずは警察に届けることが優先されます。なぜなら、あくまで「拾得物」だからです。
また、我々獣医師もけがをした動物なら無差別に手を出していいという免許ではないのです。獣医師免許は
所有者の許可や依頼があって初めて注射をしたり、傷の手当てをすることが許されるのです。
それがない場合は、
警察に届けて、状況の確認をうけたうえで手当てをしないと、「勝手にやった」ことにされてしまいます。「俺の責任でいいからやってあげてくれ!」といわれても、残念ながらそれは通りません。これまた、誰のものかわからないものに傷をつける許可を出す権利がだれにもないからです。「そんな堅いことをいわんでも。。。。」と思われるかもしれませんが、裁判となる可能性だってあるのです。
さらに付け加えると、いわゆる「くすり」で副反応のないものはございません。たとえばノミ駆除剤でごっそり毛が抜けてしまうことがあるんです。試用してみて肌に合わなかったものを使いませんよね?情報がない状況での医療行為は危険があります。

一番わかりやすいのは、警察に届け出て、警察官と一緒に来ていただけるとすぐに治療に入ることができます。ただし、動物の引き取りや費用は依頼者(動物を連れてきた人)に請求いたしますので、ご注意ください。

品野ペットクリニック品野ペットクリニック

獣医師     戸田昭博
愛玩動物看護師 戸田美幸

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