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瀬戸市品野町の動物病院。品野ペットクリニックです。

ペット動物の災害対策

 「もしも災害が起こったら?」
 それはもうなじみの無い想定ではなくなってきましたね。地震、台風、ゲリラ豪雨など、枚挙にいとまがありません。
 災害発生時は「皆さんが困ってる」状態です。ペットは家族の一員であり心の支えであったりしますが、どこまで突き詰めても一般的には「趣味」です。「ちゃんとシャンプーしてるし・・・」「しつけはできてるから・・・」って話になるかもしれませんが、
どういう状態ならいいのかって話ではなく、まわりの人が不潔に感じれば不潔だし、危ないと思えば危ないのです。
 災害時には人命救助が第一で、避難先でもまずは人間のための対応です。その原則は変えられませんが、できるだけ何とかしたいというのが人情だと思います。そのために、災害時に備えて環境省がパンフレットを作成していますので、ぜひご覧になってみてください。

 環境省 ペットの災害対策
 「備えよう! いつもいっしょにいたいから ペット動物の災害対策」

 パンフレットにはいろんな情報が記載されています。しつけなんかはどこまでしてあればいいの??うちの子は合格??って思いますよね?でも、とにかく普段から用意したいのは、
「万が一の時のためのケージを用意しておくこと」「ケージに入れるようにしておくこと」です。ごはんや水の用意なども大事ですが、ケージに入れることができない動物は、我々でも扱いに困ります。災害時にみんなで体育館で雑魚寝なんて状況が発生した時に、「うちの子はだめなんです」「抱いて寝てあげないとだめなんです」はむつかしいでしょう。結果として車で避難するって話になって行っちゃうんですが、車程度のサイズの密閉空間で動物と寝泊まりっていうのは人獣共通感染症予防の観点からあまりお勧めできません。

 
「健康管理としつけ」のページにもいろいろ書いてあります。当院では、犬ならば狂犬病予防接種・ワクチン・フィラリア症予防の3点、猫ならばワクチン接種とエイズ・白血病の確認をお勧めしています。フィラリア予防を除けば普段のトリミングでも確認事項に入ってることと思います。狂犬病予防接種は「発生したら人に対して致死的な病気」の予防ですから必ずしておきましょう。混合ワクチンの未接種で病原体をうつした又はうつされたという話が起こらないようにすることも必要です。これらをもって動物が受け入れについて「区別」されることがあっても仕方がありません。
 
予防接種は注射したらすぐ効果が出るものではありません。また、アレルギーが発生する可能性があることはご存知の方が多いのですが、興奮時や炎天下などではワクチンの危険度が高まることをご存知の方は少ないです。予防接種は平素の落ち着いているときにすませておくべきことなのです。心臓や腎臓の状態がいまいちだったりするなら「注射できない理由」を診断書または病院の診療簿でお話しできるようにしておいたほうがいいでしょう。こういったことは、平素に行っておくべきことで、災害時に慌てても普段通りの動物医療を受けることはむつかしいと思われます。
 
ノミやダニについては、内服や滴下剤などがありますが、飲んだらすぐに効くわけじゃありませんし、効果が出てもノミやダニが触れたら即死するような薬ではありません。不思議なことにつかない子にはつかないってのがありますから、必ずしもみんなつけてないといけないわけではありませんが、わりとつく子って場合は予防してあった方が無難です。ノミがシャツに入ったらものすごい気持ち悪いんですよ。。。シャワーをあびてもまだついてるような感覚になりますし。。。それを他人にやってしまったら嫌われること間違いなしです。災害時にシャワーを浴びれるとは思えませんしね。。。

 
小鳥やほかの小動物の場合は、ケージで飼育できることが大前提で、そのうえにご飯の確保が必須でしょう。特に、特殊なペレットを購入しているという状況なら、ある日いきなりほかのペレットでっていうのはむつかしいと思います。特にウサギやモルモットはストライクゾーンがすごく狭かったりしますので、常時「使用中プラス@〜A」くらいは確保しておきましょう。また、各種感染症は検査できるものもありますから、普段からチェックしておくというのは災害の備えとしてはいいと思います。(ただし、陰性が出る前提で検査しとこうって話なら間違いのもとですから、こちらのページもご参照ください。)

 いざ災害が起こってから、避難してからでは遅いことがあるのです。環境省のパンフレットにあるようなことがすべてできているのが理想ですが、とにかくケージの準備と病気の予防をして、普段から地域で認めてもらえるような「いい動物飼育者」でいられるように努力しましょう。

品野ペットクリニック品野ペットクリニック

獣医師     戸田昭博
愛玩動物看護師 戸田美幸

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