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瀬戸市品野町の動物病院、品野ペットクリニックです。

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)について

どんな病気 ???

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は、主にウイルスを保有しているマダニに咬まれることにより感染するダニ媒介感染症で、感染症法では四類感染症に位置付けられています。
※ 医師がSFTSと診断した場合、保健所への届け出をしなければならない病気です。
 フタトゲチマダニ   厚生労働省のHPより

この病気に関しては人の話を先にご紹介します。なぜなら、動物飼育を楽しむ人が、周りの人に感染させてしまう可能性がありえるからです。

潜伏期:6日〜2週間
症状:発熱、消化器症状(食欲低下、嘔気、嘔吐、下痢、腹痛)が多くの症例で認められ、その他頭痛、筋肉痛、意識障害や失語などの神経症状、リンパ節腫脹、皮下出血や下血などの出血症状などを起こす。
致死率:6.3〜30%と報告されている。
感染経路:マダニ(フタトゲチマダニなど)を介したものが中心だが、血液等の患者体液との接触により人から人への感染も報告されている。
治療:対症的な方法しかなく、有効な薬剤やワクチンはない。


参考:厚生労働省国立感染症研究所

国内での分布

日本全薬工業 ノミダニフィラリア.com 「犬・猫のSFTS」より


参考:動物におけるSFTSV感染の疫学調査(IASR)


猫や犬に感染した場合
2019年7月26日時点で、ネコ120頭、犬7頭、チーター2頭でのSFTS発症が確認されている。
症状:人とほぼ同じ症状である。元気・食欲低下、黄疸、発熱、嘔吐など。ネコでの致命率は約60%と非常に高い。犬での致命率は29%である。
注意点
原因は不明だが、マダニ予防を定期的に実施していた犬猫にも発症例があった
・すべての年齢の猫に発症が見られた。高齢猫だけではない。
・ネコ-ネコ感染が起こっている可能性がある。
・ネコ-ヒト感染が咬傷あるいは濃厚接触により起こっている。また、発症したイヌから飼い主・獣医療関係者への濃厚接触により感染が発生している。
特に、獣医療関係者・飼い主はリスクが高い。発症ネコの唾液・尿中からウイルスが排泄されており、すべての体液に注意が必要である。

参考 IASR SFTS発症動物について(ネコ、イヌを中心に)

我々にできることは、「知るワクチン」つまりこういった知識を頭の片隅に置いておくことと、マダニの寄生予防です。

国立感染症研究所 「マダニ対策、今できること」PDF

当院では犬猫のマダニ期生予防には、日本全薬工業製のネクスガード、ネクスガードスペクトラ、フロントラインプラスを使用しております。
日本全薬工業 ノミダニフィラリア.com

研究者が必死になって疫学調査や治療法の確立を進めておりますが、その間にも死亡例も増えつつある嫌な病気です。その中で、体液による感染が報告されたことは大きな衝撃となりました。これによって、この感染症がいきなり身近な問題に変化したといえます。特に、我々獣医療関係者には重大な問題で、これからはマスクやメガネ(伊達メガネやゴーグルも含む)の着用、グローブの着用といった、自身の感染防御を厳重化する動物病院が増えていくかもしれません。


品野ペットクリニック品野ペットクリニック

獣医師     戸田昭博
愛玩動物看護師 戸田美幸

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