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瀬戸市品野町の動物病院。品野ペットクリニックです。

小鳥の餌とサプリメントの取り扱い

シードとペレットのどちらがおすすめ?

当院ではどちらでも結構ですというスタンスです。
 シードを好む子も、ペレットを好む子も普通にいますし、シードにペレットを混ぜて与えても両方ともきっちり食べる子もいます。ペレットには病気に合わせた処方食もありますので、その意味ではいざというときにメリットがありますが、「ペレットは絶対拒否」という子もいます。
皆様からいろんな疑問が出されます。
@ シードは栄養の偏りがあってダメなんじゃない?
A ペレットは小鳥の栄養をきちんと満たしているの?
B 混ぜたら栄養バランスがめちゃくちゃにならない?
C ペレットよりシードのほうが喜ぶ気がする。
D シードジャンキーって言葉を聞いたけど?
 などなど。
ここからは「
あくまで私個人の意見」です。
 小鳥の飼育がはじまってどのくらいたつのかってわかりませんが、少なくともシードだったから栄養不良だったという実感はありません。また、ペレットの栄養成分が小鳥にあっているのかという部分については私自身微妙に感じることがあります。インコもブンチョウも「小鳥」になってしまうからです。ペレットのサイズ以外に細分化されているんだろうか?果たしてその栄養成分は本当に適合しているんだろうか?と思うのですが、健康診断等で全身の様子を見た時におかしいと思ったことはありません。ドックフードは?って話になるんですが、イヌは食肉目イヌ科イヌで、ただ1種の動物にいろんな品種があるだけです。もちろん犬種特異性というものがあって、若干の違いは考慮されるべきですが、基本は同一種の動物なのです。チワワとドーベルマンの違いはセキセイインコと文鳥の違いとは全然違う話なのです。
シードとペレットを混ぜることについても、何割ずつ?なんて話になりますが、飼い主の意図したとおりに食べてるかどうかは何とも言えませんが、おかしいと思ったことがないのでオッケーとしています。小鳥たちも自分の体調に合わせて選択しているんでしょうね。
 シードジャンキー(中毒)っていうのは確かにいます。精神的におかしくなった?っていうくらい必死に食べる子がたまにいるんです。ただ、当院で診察した患者さんで、食べすぎで亡くなった子はいません。そういう子は太りやすいですし、ペレットに替えた方が栄養のバランスはとりやすいと思います。

 

購入時の注意事項は??(これも私の私見です)

購入時に気を付けたいことは以下のようなことです。
@できれば日本産を選んでください。
 所詮小鳥の餌です。航空便で業者間取引されるようなものがどれくらいあるかは疑問です。
 ふつうは船便でしょうから、製品化される前の原材料がきちんと管理されて届くのかは疑問です。
Aいろいろ見比べてみて極端に安いものは避けてください。
 売れ残ってしまい、品質保持期限が残り短いとかなら、時と場合によってはラッキーです。
 そうでなければ何かが違うから安価なわけで、そこがわからなければやめておきましょう。
B穴が開いてたりするようなパッケージの不備がないものを手に取りましょう。
 最近の餌は保存料フリーが当たり前です。パッケージ内に窒素を充填したり、抗酸化剤を添加したりして保存しています。穴が開いていると、開封したのと同じことになるのです。
C有名メーカーのモノが安心です。ショップオリジナルはしっかり説明を聞いてから。
 ドックフードでも同じですが、餌というのは、「必要な栄養素を満たしていればオッケー」ではありません。その餌を使って飼育した時の飼育者の感想や、動物が実際どうだったか、嗜好性の問題など、いろんな消費者の声を聴いて改善していくものです。ドックフードで、多くのユーザーが認めるタイプの嗜好性をあげるのは、栄養成分を整えつつというのはとてもむつかしいのだろうと思います。餌に求める根本的な必要要素を考えなければ、鳥たちが好む種を多く入れたり脂肪分を増やせば嗜好性はたいてい上がるわけです。ショップオリジナルの配合やペレットでうまく行ってますというのも普通にありますが、やれ太っただのやせただのというのは、病気だけでなく餌そのものの問題であることも多いのです。疑問に思ったときの相談窓口がきちんとあるものにしておくのが無難です。
D対面販売の店舗で購入しましょう。
食べるものですから、店舗での購入をお勧めしております。ペットショップでもホームセンターでも結構です。もちろん、清潔に管理されている店舗を選びましょう。

与え方は?
 
シード給餌の基本は、まんべんなく食べることです。基本としては、2,3日で食べきる量を入れて、殻を日々吹き飛ばして管理してください。清潔にできればどのようにやってもいいのですが、カメラレンズのブロワーなんか使うと我々の唾が入らなくていいですね。エサ入れにたっぷり入れてつぎ足しなんて方もいらっしゃいますが、中で糞をしたり、水がついたりしますから、あまりお勧めしません。また、エサ入れを洗わない期間が長くなることもお勧めしない理由です。逆に、毎日朝晩交換するなんて方もいらっしゃいますが、これもお勧めしません。まんべんなく食べることでうまくいく配合ですから、ちょいちょい交換することで好きなものだけを食べるようになってしまうからです。
 ペレット食や、体重管理をする場合は、基本としては体重の10%程度を目安にしてみてください。栄養成分が違いますから、ペレットとシードで違うでしょ?という話になるのですが、あくまで「基本量」と考えてください。「鳥さんたちが1日かけて口から入れられる量」ということです。そこで過不足がないかどうか、元気かどうかだけでなく、体重でチェックしましょう。体格を見ることができればそれもいいと思います。10%程度の量を与えていても、たくさん遊ぶ子はおなかがすきますし、カロリー消費も多いですから、体重を見て餌の増量をすることは構わないです。逆に、運動量が少ないのにがっつり食べれば太ってしまうかもしれませんから、少し減らす必要が出るかもしれません。
 体重管理がなかなか理屈通りにいかない、むつかしいのは、人間のダイエットと同じです。それぞれの個体に個性がありますから、同じことをやっても太る子は太ってしまうんです。どうしてもおかしいというときは病的な肥満や削痩(やせること)を考えますが、日々の飼育管理が微妙だと、なかなか診断にたどり着けません。
 大事なのは、清潔に、太らない量で与えることであって、そのためには観察することが重要です。糞の量や体重のチェックなし、あそぶのも飼い主の時間ができた時、となると、変化を察知できませんし、変化してもしょうがないですよね。変化の原因が病気だと厄介ですが、基本事項が抑えられてないなら診察がむつかしくなります。食事や運動、健康管理は人間と同様に考えてあげてください。

保管方法は??
 
皆様のお話を伺うと、これが意外にむつかしいみたいです。基本は、「冷暗所保管」です。
 そうすると、冷蔵庫に入れたい人が非常に多いのですが、季節によっては正解で、季節によっては微妙もしくは不正解です。また、入れ方によっても正解と不正解が発生します。冷蔵庫は確かに冷暗所ではありますが、冷える上に乾燥するんです。梅雨の時期や暑い時期だと、冷蔵庫から出してエサ入れに入れると急速に温度が上がり、湿度を吸い上げることで結露し、すみやかに痛むのです。それでもほんの少量ずつ何回かに分けて食べきる量を与えるようなスタイルならいいんですが、2,3日置いておくのは危険です。
 そんな面倒なことをしなくても、台所の戸棚の中に入れて、乾燥材を入れておけば一般的にはOKです。台所が高温多湿になる家庭というのはあまりないでしょう。料理にお使いになる小麦粉やパン粉などが痛まない環境であれば基本的には問題ありません。

消費期限は?
 おおむね1か月と思ってください。購入のところでも書きましたが、保存料が入っているケースはほとんどありませんので、開封した瞬間から劣化が始まると思ってください。私たちも1か月前に開封したお菓子を食べないでしょう?それと同じ感覚でいてください。加えて、手触りやにおいなど、いわゆる五感を使った検品は常に心掛けてください。当院の症例でも、新品を開封したばかりなのに実はカビていて、小鳥が大変な目にあったなんてことがありました。匂いを嗅いで「おや??」と思ったときや、なにかがおかしいと感じた時は、ご家族や友人に印象を聞いてみて、不安があれば廃棄することをお勧めします。特に気温の高い夏場は危険です。

サプリメントは何がいいの?

当院の考えとしては「特に決まりはありません」

 現在、当院で取り扱いのあるビタミン剤はトルネンです。状況によってはベルキュアEXOを処方することがあります。

給与方法と保管方法は?
 サプリメントは、水に溶くのが楽でいいです。水浴びを盛んにする子の場合は、羽についてしまいますから餌に振りかけた方が安心かな?とも思いますが、実害があったなんて話は聞いたことがありません。
保管との兼ね合いではありますが、水に溶く場合は、結露、吸湿を気にする必要がありませんから、冷蔵庫保管が可能となります。餌に振りかける場合は、結露、吸湿に気を付けないといけません。
 また、サプリメントは劣化しますから、朝晩交換しましょう。餌に振りかける場合は、餌を全部交換することになりますので、半日で食べる量をよく見極めて、それよりも少しだけ多めにして、全交換するのが基本となります。餌に振りかけるのも、水に入れるのも、どちらも入れものは石ケンで洗って、きっちりすすぎましょう。劣化したサプリメントが残るのはよくないことです。

消費期限は?
 おおむね1か月で残りは廃棄した方が無難です。餌に振りかける手法の場合は結構な量が余ると思いますが、残念ながら劣化します。もちろん、「30日は大丈夫で31日はダメ!」なんてことはありません。40日くらいになっても仕方がないときはあると思います。でも、「30日程度で劣化する」が基本です。
※トルネンのように個包装のものはこれに該当しません。きちんと管理してあれば記載された消費期限まで使用可能です。

品野ペットクリニック品野ペットクリニック

獣医師     戸田昭博
愛玩動物看護師 戸田美幸

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