毎年2月1日時点での飼育内容について届け出ます。
この届出の情報は県、市町村から広報されるものですが、あまり見ることがありませんよね?でも、鳥を飼育する以上は知っていないといけない情報です。
中央家畜保健衛生所に確認したところ、この届出をすることで、100羽以上の飼育者については、緊急時の情報送信がなされるようですが、1羽や2羽の飼育者に関しては情報送信の対象外だそうです。しかし、どこで何が飼育されているかを把握しておいて、緊急時対応を迅速にすることが目的ですので、ぜひご協力ください。
届け出をしていないと罰則規定もあるのですが、知らなかったということもありますので、まずは届け出をしていただけるよう、広報してくださいとのことでした。
ご不明な点は中央家畜保健衛生所 0564-51-5183 まで、お電話ください。
ちなみに、当院でも最近にわかにブームなのですが、「アヒル」は「アヒル」「ダック」すべてだそうです。ナキアヒルも、アオクビアヒルも、シロアヒルも、コールダックも全部該当するそうです。
ニワトリ、ウズラに関しても同様ですね。
確率の話としては、とても低いといっていいと思います。が。。。。。
そもそも「ペットとして飼ってる」っていうのの定義って何だろう?っておもいませんか?
よくあるご質問ですが、皆さんいろんな飼い方をしてらっしゃいます。セキセイインコや文鳥で言えば、最近はリビングで飼育なさる方が増えていますので、可能性は極めて低いと思います。でも、アヒルを飼育している人がほとんどの時間をリビングで飼育してますっていうのは、可能ではありますがあまりお勧めできない飼い方ですよね。人もアヒルも体調を崩す飼い方です。「庭の鳥小屋で飼育している」、「時々連れ出している」、「外に日光浴に出すんだけどそこには餌が落ちるのでスズメなんかが集まってます」、などなど、感染の可能性が捨てきれない状況っていうのが必ず存在します。ならば、「ペットとして飼っています」とは言っても、同じアヒルであり、鶏なんですから、それは「養鶏業を営んでいません」というだけの話です。
基本的な考え方としては、ペットとして飼ってますという場合の多くはアヒルの人口密度が低いので、安全安心を求めて鳥小屋に野鳥が集まってくるとか、水浴び場にこぼれたエサに野鳥が集まったりする頻度も低くなるということです。伝染する機会が極めて少ないために「めったに発生しない」といっていいと思いますが、「絶対」はないので正しい知識を持って対処しましょう。野鳥が集まってこないように、こぼれたエサの掃除や、日光浴などをしている間の監視など、野鳥対策と衛生管理が重要になりますね。
うちの子の検査を受けてみたいんだけど?というご要望が時々ありますが、それは慎重にご検討ください。
人用のインフルエンザキットを用いて「簡易検査」をすることになるのですが、誤判定がでる可能性があります。どんな検査でも誤判定は起こり得るのですが、この場合は届け出義務のある感染症ですので、「本当に誤判定か?」を正確に確認する必要が出ます。となると、正しい検査系で確定診断を出さないといけません。
農林水産省の「高病原性鳥インフルエンザ及び低病原性鳥インフルエンザに関する特定家畜伝染病防疫指針」では、検査の実施について以下のように規定しています。(14ページ)
基本的には、家畜保健衛生所は業(仕事・商売)として飼養されている家畜のための機関です。非常時には非常時対応ということで検査していただけるかもしれませんが、基本的にはペットの鳥類の持ち込み検査は受け付けていません。一般の2,3羽飼育しているようなペットで検査を受けることができるとしたならば、獣医師による簡易検査キットで陽性の結果が出た場合のみでしょう。簡易検査キットは非特異反応が見られることがあり、誤判定が生じることがわかっています。だから精密検査が必要なのであって、何回か簡易検査をしてその結果を集計して議論しましょうというものではありません。
以前家畜保健衛生所に検査について確認した時は、生存させた状態で確定のための検査はむつかしいということでした。理由としては、気管を開いて餌や飲み水などの夾雑物のない検査材料をとるというところが一番大きいのではないかと思います。そこで、せめて家族だから遺体は手元に残したいというご希望が出るかもしれませんが、それもまたむつかしいと思われます。万が一鳥インフルエンザだったならバイオセーフティーレベルとしてはP3に属しますので、結核菌や狂犬病と同じレベルの取り扱いが求められます。「そうかもしれん」ということで検査に出すのですから、受ける側も「そうかもしれん」という対応をとるわけです。検査はその場で判定が下りるわけではなく日にちがかかるので、おそらく感染性廃棄物としての処理をしないといけないでしょう。よって、イメージされるようなまともな形での遺体の返却はむつかしいのではないかと思います。
長くなりましたが、簡易検査を実施するからには、陽性が出た場合の対応はそれ相応の覚悟が必要ということです。状況から言ってめったに発生しないことについて、「うちの子は大丈夫」という安心のために誤判定がでうるキットを使って検査を行うというのは、混乱のもとでしかありません。
私としても、陽性判定が出たならば「内緒にして」といわれてもそれは獣医師法に違反することになりますのでご要望に従えません。また、本当に鳥インフルエンザだった場合を考えれば地域の安全のために報告するのは当たり前だと思います。
そのくらい「実施する」には十分な検討を要する「重い」検査なのです。
獣医師 戸田昭博
愛玩動物看護師 戸田美幸
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